2016年9月30日金曜日

ヨガの目的と整合性

ヨガを大きく2分類すると、「現実肯定エリート養成型」と「涅槃解脱型」になると思います。
前者は、クリシュナマチャリアが始めたモダンヨガ、後者はパタンジャリ系譜のオールドヨガ。

クリシュナマチャリア師の弟子、パタビジョイス師は、自らのヨガに、パタンジャリの八支則であるアシュタンガを名前にもしていますが、繋がりはありません。

全く新しいヨガです。ですから欧米のヨガ歴史学者の間ではモダンヨガという名前が付けられています。

クリシュナマチャリア師は階層でいうとカースト制度の頂点、バラモンで、王族や軍隊に、古来のヨガを元にして、訓練を目的にモダンヨガを考え出しました。
弟子のBKSアイアンガー師が、軍隊にビンヤサヨガを教えていたのは有名です。
そして、パタンジャリのヨーガスートラを精神的バックボーンにしました。
借りてきたという表現をする研究者もいます。

ですから、もともと、モダンヨガは、王族や軍属というエリートの健康や、訓練を目的としたもので、その後、BKSアイアンガー師やパタビ・ジョイス師によって、より体系化メソッド化され、欧米で絶大な支持を得ました。

特にアシュタンガヨガは、欧米の企業の役員とか、実業家、映画関係者などのエリート層に人気があります。

それは、彼らの現実の生活に、健康面でも精神面でも、有意義で、彼らの社会生活と共存し、彼らの生活を物質的にも精神的にも、より豊かにするからです。

しかし、

オールドヨガ、こちらが本来のヨガというかヨーガですが、
こちらは、修行で、身体も自由にする、そして、精神も本当の意味で自由にするものです。
精神を自由にするということは、しがらみや自分に不要なものを捨てて、最後には涅槃、解脱を目指すものです。
場合によっては家族も捨てます。
サドゥは、出家する時に、必ず家族に、出家して家族とは縁を切る、ということを告げるように求められるそうです。

つまり、2つのヨガは、根本的に目的が違います。

この大きな目的の違いを認識せずに、ヨガ哲学を是とすると、混乱することがあります。
目的が違うのに、本来のオールドヨガの哲学を実践しようとすることになるからです。

先日、アシュタンガヨガの有名な指導員の悩みをレポートしましたが、
なぜ、悩むのか?
それは、オールドヨガ的に言うと、抱えるものが多すぎるからです。
だから、本来のヨーガからすると、名声も、世界中の多くのお弟子さんも、そういうことはあまり考えなさんな。
ということになります。
離れていく者はほおっておいて、身近のお弟子さんだけに教えて、必要十分なもので満足して、
楚々として生きていけば、それでいいではないか?
これが、本来のヨーガ精神に立った考え方、生き方です。
そうすると、精神はますます自由に、解放され、解脱に近づいて行きます。

現代人の眼から見ると、世捨て人を作るような考え方ですが、本質的に、ヨーガの目的はそれです。

私はヨーガを始めてすぐに、ヨーガの先生から、
「ヨーガには、あまり、深入りしない方が良い」
とアドバイスを受けました。
特に私の仕事はクリエイティブ系で、まだ若かったので、物への執着やこだわりが、生命力になったからです。
ヨーガに深入りすることで、それとは、逆の方向に行ってしまうことを先生は危惧されたと思います。

しかし、30年、40年とヨーガをやっていると、影響が出てきました。
それは50歳を過ぎたころで、3つの大きな試練が一気に自分に押しかかってきたときです。
そこで、離婚を含め、一気に財産や多くの仕事を無くした自分にとって、それは大きなストレスではあったのですが、
この身軽さ、開放感、はいったい何だろう?と晴れ晴れとした気持ちになりました。
それは、ヨーガを続けてきた自分が本当に望んでいたものは、これだと感じたからだと思います。

それは、多分、自分の回りから不要なものや確執が無くなった瞬間だったのだと思います。
多分、離婚や破産、母の認知症発症は、必然で、神様が与えてくれたもので、意味があったと思います。

しかし、自分が仕事で積み上げてきた写真の仕事の作品や一部の人間関係はそのまま残って財産となりました。
それは、食べていく上でも本当に必要なものだったから残ったのだと思います。
そして、そのおかげで、質素な生活だったら不足のない自由な生活を続けていけます。

その時に、ああ、これが、ヨガの精神の解脱への道なんだ。と眼から鱗が落ちたような気分になりました。
ヨーガは経験哲学です。経験して初めてその教えが認識できると思います。読んだだけの知識はほんものの認識としては定着しません。これは何の分野でも同じです。

私は、肉体鍛錬や集中力養成のため、アクロバティックな訓練もやっていますが、
本質は、ヨガではなくヨーガの人間です。
切り離して考えています。

現実肯定、上昇志向、ビジネス志向の方が、生半可にヨーガ哲学を学んで行くと、整合性がとれなくなることがあります。
ですから、モダンヨガを楽しむ方は、現実志向と割り切り、変にヨーガ哲学に深入りしない方が良いと思います。

ちょっと長くなりました。最後まで読んでいただき感謝致します。

2016年9月29日木曜日

「ヨガビジネス」

最近、ニューヨークに研修に行ってきたピラティスの先生から直接聞いた話しによると、
陰ヨガ愛好者の増加が凄いそうです。
それも一時的ではなく、しっかりと根を張ったものであると印象を受けたそうです。

私もなんちゃって陰ヨガ、每日やっていますが、
すごく、効果があるだけでなく、ポーズ中に瞑想したりして、新しい発見があります。

これは新しい流れかな?と感じています。

先日、アシュタンガヨガの世界的に人気がある指導員、ラルーガ・グレイザーさんが、Instagramで、同じアシュタンガヨガの有力者から公然と批判を受けて、ショックを受け、反論していることを書きましたが、

今度は、先日、彼女と人気を二分するキノ・マクレガーさんが、アシュタンガヨガビジネスのことで、やはり批判を受けて、ショックを受けて寝込みそうになったとInstagramで告白していました。

私は、お二人をフォローしているので、Instagramを開くと記事が飛び込んできます。
コメントも結構あったので、さっと眼を通したのですが、結局、こういうことは、両方の言い分(言った方と言われた方)を聞かないと分からないというのが正直な感想です。

結局、彼女たちが、なぜ、こういう本来プライベートにしておくべきことを一般公開したのかというと、やはり、同業者や全世界の生徒たちに賛同して欲しかったのでは?と思っています。

彼女たちは、世界中で指導しています。
やはり、そこには、ビジネスが絡み、勢力争いがないとは言い切れないと思います。

アシュタンガヨガは世界的にビッグビジネスです。
しかし、これだけヨガが認知されて、いろんな団体や才能が参入してくると、
なかなか大変なのでは?と思います。

前述の陰ヨガの人気は、アシュタンガヨガやパワーヨガがもてはやされる風潮への反動だという説もあります。

最近、Instagramを見ていると、特に、ロシアの元バレリーナ、新体操選手や、元シルク・ドゥ・ソレイユのパフォーマーたちが、ヨガに参入してきているのに気が付きます。
彼女らは、もともと、トレーニングの一環としてヨガを取り入れていますし、身体能力はヨガの先生の比ではありません。

彼女たちもRYTの資格を取って、ヨガ教室を開き始めています。

特にハードなヨガを目指す若い人たちは、そちらに流れているのでは?と思います。
実際、Instagramで見る限り、結構な人気です。

身体の仕組みや動きを知っているということにおいては、彼女たちの方が上です。
それに、幼少期から過酷な練習に耐えているので、メンタルも強い。

ですから、アシュタンガヨガの先生たちも、ヨガの精神性を表に出して、「体操とは違う」と苦しい言い訳をしている方もちらほら。

あらゆる分野でアメリカとヨーロッパは、ほぼ同一のビジネス圏です。
アメリカで人気が出ると、ヨーロッパでも人気が出て市場が開拓できる。

私は、しばらく北米とヨーロッパで仕事していたので、その仕組がよくわかっていますし、ヨガも例外ではないと思っています。

ヨガというビッグビジネスを巡って、過当な競争が始まっているような気がします。







2016年9月28日水曜日

「サンセットヨガ」



昨日も日没を狙ってサンセットヨガ。
結構、ドラマチックなサンセットでした。

陽がまだ完全に落ちていない時間帯は、陽が低く、眩しいし、落ち着きませんが、
陽が落ちてしまってからの30分くらいは最高です。

急に静寂感が訪れるというか、気のせいかもしれませんが、静かになります。
海や空を背景にヨガのポーズを撮影するときに、最も映えるのは、やはりアドムカブルクシャサーナ(倒立)だと思います。

ぐっと天に伸びる姿が風景の一部になるような気がします。
やっていて、最も気持ちが良いのも、このポーズです。

アームバランスも絵になりますが、
何しろ、自然との一体感を楽しむには、キツすぎます。

あと、立木のポーズとか、やはり、身体がスッと天に伸びるポーズは絵になります。
夕方、家から空を眺めて、今日は、どこで、どんなポーズをしようか。

と考えるのも楽しみになっています。

2016年9月27日火曜日

「練習のイメージ」

ずっと雨が続きましたが、先日は、午後から晴れて、
日没前に海岸でヨガ。
ストレッチと、プラナヤマ、をやった後に、バランス系を練習しました。

先日は、気分は晴れ晴れとしていたのですが、
なぜか、とても身体が重い、珍しいコンディションでした。

こういうときは、あまり、ハードなアーサナはやらない方が良いと思ったのですが、
いざ、やってみると、最初の2トライくらいはドツボでしたが、その後復調、
身体が重い割には、普通にまとめることができました。

写真を見ると、やはり好調ではありませんが、悪くはない。という感じです。

自分の体調って、不思議でいまだ良くわかりません。

ただ、ある程度、経験があるので、それを頼りにしています。

○先日のようなコンディションのときは、身体が重くても、練習を開始すると、復活する。

○身も心も絶好調のときは要注意。

身も心も絶好調のときは、いつまでも練習をしていたくなります。
そういう時は、まだまだ練習をやりたいのに、意図的に、途中で練習を切り上げます。

絶好調のときに怪我することが多いからです。
そういうときは、練習中に自分がケガするような、嫌なイメージが浮かぶことがあります。

このことを以前Facebookに書いたら、同じ経験をした武道家の方から、同じようなコメントがありました。

あと、倒立系やバランス系は特に、良いイメージで練習を終えた方が良いと思います。
ですから、とてもいい感じに仕上がったときは、例え一回目でも、そこでキッパリやめることにしています。

悪い感じで終わると、それを身体が記憶して、しばらく定着することがあるからです。

寝ている間も身体は、その情報を整理して定着させます。
その日の練習のイメージは、その日の最後の状態を引きずると思います。

2016年9月26日月曜日

「ゲイのヨガティーチャー」



ヨガティーチャー、ロッキー・ヘロンさんが主催する yogawithrocky。
彼が私のページをフォローしてくれたので、
私も彼をフォローすることにしました。

写真のポーズをしている男性がロッキーさん。
いろんな場所で、デモのポーズをしています。

彼はゲイです。

私が以前ニューヨークで仕事をしていたとき、
大体、いつも、仕事関連のスタッフは、私を除いて、ゲイかレズでした。
それほど、アメリカのクリエイティブ関係はゲイ、レズの割合が多いです。

私は、ヨガにも、ゲイの先生が増えるのではないのかと以前から感じていましたが、
最近増えてきました。良いことだと思っています。

ゲイは、ストレートの男性にない感性と女性にもない優しさを備えています。
ですから、彼らと仕事をしたりすると、とても学ぶことが多かったと記憶しています。

ヨガでは、男性のティーチャーが女性をアシスト、アジャスト、することがあります。
そういう時は、ゲイのティーチャーは、どんな女性からも抵抗なく受け入れられると思います。女性は本能的に、ゲイを男性だとは、感じないのです。
これは動物的な本能で、とても不思議です。

そして、ゲイの男性は、感性が鋭く、美意識が高く、芸術を愛する人も多く、
会話をしていても飽きることがありません。そして、大体、皆明るい。
エンターテナーなんですね。

ですから、ロッキーさんの写真、いつも幸せ感、満載。
ヨガ教室に行って、汗かいて、笑って、幸せな気持ちで終わる。
これに尽きると思います。

ロッキーさんも人気ヨガティーチャーの例外ではなく、
ポートランド、ハリウッドなどのアメリカ西海岸だけでなく、
東南アジアでも大盛況の人気者。
ヨガ雑誌でリトリートの告知をして、あちこち駆け巡っています。

ヨガ教室はその流派、種類、より、個々の「先生」の教える能力とキャラで人気不人気が決まると思います。
私も、流派より、いつも先生のキャパとキャラを見ています。

最近、あるインドの有名なヨガの指導者が、アメリカの現状を見て、
「にわか即席のグルが登場している」と、暗に自分の流派が正統であるという感じの、残念なコメントを残しています。
確かに、残念なグルも多いですが、ロッキーさんのように、素晴らしいグルも多い。

それにその指導者の流派も歴史はたかだか数十年。

もともと、インドの歴史を見ても、玉石混交、魑魅魍魎というのがヨガの世界の面白さ。
その先生の数だけ、ヨガがある。
大きな流派として統制がとれている。という方が不自然だと思います。

ヨガには、正統も異端もないと思っています。

2016年9月25日日曜日

「自分を好きだと言って」



今朝アップした、「ダンサーのポーズ」。
Instagramで検索していて一際眼を引いた写真。

ポーズしているのは、アメリカはノースカロライナ州に住むジェサミン。
アップ後2日で、なんと12,426件もの「いいね♡」を貰っています。

彼女のコメント(写真中)を読んで感動しました。
以下私が意訳したものです。

「私は、とても内向的な人間だったので、
今までこれだけ、(Instagramにアップした)私のポーズ写真を、多くの人が見てくれて、
同じ気持ちをシェアしてくれたことに対して言葉もないわ。

ただ、これまで、私のヨガ・ポーズの写真に対して、
「いいね♡」をくれたりコメントをくれた人にお願いがあるの。

他人に対して、好きだよ。とか素敵だよ。というのは簡単なんだけど、
自分に対して、それを言うのは、とても難しいことだと思う。

だから、あなたも、同じように、鏡の中の自分に向かって「好きだよ」と言って」。

彼女はヨガで救われた。と思います。
内向的で、恐らく、ヨガをやるまでは、自分が嫌いだったのでは?と思います。
しかし、ヨガを始めて、鏡の中の、ヨガをポーズしている自分を見て、
自分が好きになったのだと思います。

この写真の彼女のポーズのように、
自分を愛している人のポーズは輝いて、美しいと思います。♡

「ダンサーのポーズ」


ダンサーのポーズ、ナタラジャーサナというサンスクリット語名で有名です。
このポーズ、よく画像は眼にしてきたのですが、
自分でやってみようとは全く思ってもみなかったポーズです。

BKSアイアンガー師のテキストの表紙にも使われているので、
ふとやってみようと思って、
Googleの画像検索で見てみました(写真)。

とにかく、バリエーションが多いポーズですね。
フィギュアスケートのビールマンスピンのようなものから、簡易型のすぐにできるようなものまであります。
前方に伸ばす手の角度も様々、ポーズする人の体型的特徴で、まるで違って見えることもあります。

しかし、Google画像を見てもお分かりのように、
ほとんど女性。男性は数えるほどしかいません。
Instagramのタグ検索では、1000近い画像の中で、男性はたったの二人でした。

このポーズ、昨日の練習が、長いヨガ経験の中で初めてでした。

やってみて分かったのですが、男性は、身体的特徴(身体の厚み、骨格)のせいで、キツいと思います。
男性向きではない。というのが実感。
だから皆避けているのかも。

何カットか自撮りしてみて、ポーズを見ました(写真)。

股関節も足も、もっと開くはずなのですが、
やはり、それは、上半身の柔軟性とのバランスの兼ね合いで、
肩、胸、肩甲骨回りの柔軟性がもっとないと、スムーズには上がらないし、
バランスを取ることが難しいと思います。

まだ、このバランスに慣れていないので、
慣れたら、あと少しは身体が開くと思います。

ヨガのポーズは、例え、発展途上でも、その人のレベルで、美しくバランスをとることができると思います。

まだまだ、練習中だからと言って、全体の美しさに無頓着で、身体を曲げたり伸ばしたりすることだけに集中していたら、いざ、ポーズが、ある程度完成されても、美しくない場合があると思います。

多くの検索画像を見ていると、発展途上のレベルで、実に美しくポーズしている人がいます。
ですから、今の自分のレベルで、なんとか、幾何学的な美しさを出して、まとめる。

ということもヨガには必要だと思っています。

ということを念頭において、ポーズをまとめてみました。
まだ、仮面ライダーみたいですが。


2016年9月24日土曜日

「指の役目」


私は、瞑想や練習を行う時は、いろんなところでやっています。

このブログを見ていただいてもおわかりになると思いますが、床で練習することもありますが、バランス、倒立系は、室内ではスツールの上か、屋外では岩か、コンクリート、ウッドデッキの上で行うことが多いです。

これは、気分が良い。大自然に接することができる。緊張感がある。集中力をつける。
という目的もありますが、
ひとつには、ホールドが安定し、その結果自由度が増すという目的もあります。

手首は、ぐっと何かを掴んだ時に、しっかりとロックされます。
普通に手を置いた場合よりはるかに強度と安定度が増します。
結果、手首にかかる圧力も減ります。

例えば、倒立を、岩盤や、ざらざらしたコンクリートやアスファルト、
板を組んだウッドデッキの上でやった場合、
わずかな表面の凹凸を10本の指で、掴むことができます。
スツールの場合は縁を握ることができます。

しかし、例えフローリングやヨガマットの上でも、
指の腹で、床を掴むという意識があって、続けていると、
床をある程度つかめるようになります。
そうすると、つかんでいる間は、手首の強度が増し、
アーサナも安定してくると思っています。

そして、各指に加える力によってバランスの微調整もできるようになります。
例えば、倒立で、バランスが身体の前方に傾いたときに、
親指以外の4本の指を少し立てて床を掴み、バランスをキープするテクニックはよく知られています。

この床を掴むという感覚、常に意識していると良いと思います。
そして、意識の上でも、身体の上でも床をつかめるようになると、
それだけで大きく進化すると思っています。

そして手の指だけでなく、足の指もバランスの微調整に一役買っています。
特に片足で立ったときに軸足の指が床をつかんでいると、安定感が違います。

自分でもあまり意識していないのですが、倒立やアームバランスの自撮り写真を見ると、
時々、バランスを取って静止しているとき、足の親指を開いたり交差させていることがあります。
これは、バランスを無意識に微調整しているのだと思います(写真上)。

それから、私はヴィンヤサもたまにやっていますが、
ダウンドッグから、ジャンプフォワードで超スロー着地するときに、
一瞬空中静止しますが、そのときに足の指を、もぞもぞと、動かしてバランスをとっていることがあります。
最初はクセなのかと思っていましたが、
海外のアシュタンガヨガのデモを見ると、けっこうやっています。
多分、
これは、猿が木から木へジャンプするときに、
尻尾を微妙に回転させて姿勢を安定させているのと同じ原理だと思っています。

足の指は手の指のように自由には動きません。
しかし、訓練である程度自由に動くようになります。

写真下は、足指で、ビー玉を掴んで、ある地点からある地点にに移動しているものです。
コップの中に移動したりすると、より器用な動きが必要になります。
これは、バレエ、水泳のトレーニングでもよくやります。
バレエも水泳も、足指はセンサーであり、推進力を生むところで、最も大事なパーツだからです。

このトレーニングをやっていると、足指のセンサー機能と、バランス微調整機能はかなりアップします。
バレエも水泳も、主に子供の頃にやらせるようにしていますが、
大人になっても、進歩はあります。

そして、何より、安定した歩行や機敏な動きに必要な、土踏まずを発達させてくれます。


2016年9月23日金曜日

「体温の話」

以前、ニューヨークに住んでいた頃の話しです。

ニューヨークは当時、史上最もホームレスが多い時代だと言われていました。
路上で生活しているホームレス、冬は厳しいです。
そのホームレスから、面白い話しを聞きました。

「寒くなったら、絶えず、息を吸っては、止めたり、吐いたりするんだ」。
そうすると、
「身体が暖かくなって、ある程度の寒さはしのげるんだ」。

息を吸っては、止めて、吐いたりすると、
血液の流れが遅くなったり、速くなったりすることが分かっています。
すると、その血流の変化が血管をマッサージして熱が出るいう仕組みです。
毛細血管は、身体のありとあらゆるところを走っていますから、なるほどな。
と関心しました。

これは、ヨガのプラナヤマと同じ仕組みだと思います。
もちろん、アーサナでも、しっかりと呼吸を意識しますから。
ヨガをやっている間は、血液の流れが良くなり身体は暖かくなっています。

毛細血管の話になりますが、
毛細血管は、ある限られた運動でないと発達させることができない。
とスポーツ医学の研究では言われています。

その限られた運動とは、
低負荷、長時間の有酸素運動です。
例えば、LSD、これはジョギング程度のスピードでスピードを上げずに長時間走る運動です。
最低でも一時間走ります。距離ではなく時間です。

軽いジョギングでは、個人差はありますが、約20分ほどで、血液が全身を一巡することが分かっています。
ですから、一時間のジョギングで血液が三巡します。
私はランニングも日課ですが、このスロージョギングとヨガは、ほぼ同じ効果があると思っています。
ただ、ヨガも一時間以上はやるようにして、じわっと汗をかく程度は負荷をかけないと効果はないと思っています。

ですから、10年、20年と、長い間ヨガを教えている先生方は、
私が知る限り、体温が高く、
冬でも平気でTシャツで教えているような方ばかりです。
毛細血管が発達して呼吸が深く、体温が高いのです。

私の体温は、朝起きた時は36.5度程度ですが、一日のピーク時、36.9〜37.2度です。
この話をすると、微熱だと言われることがありますが、
白人は、大体、最低でも37.0度体温があります。平均は37.5度くらいでしょうか。
38.0度を越して、始めて風邪として認めてくれるそうです。

実は、私が子供のころまでは、日本人の平均体温は37.0度だったそうです。
その証拠は水銀体温計に残っています。
水銀体温計は今でも37.0度のところが赤くなっていますが、
その赤は、ここが平均体温ですよ。
という印だそうです。

昔の日本人が体温が高かったのは、生活が不便で、身体を動かすことが多かったのだと思います。一般人の筋肉量は昔の方があったと思います。

白人の体温が高いのは、主に筋肉量の違いだと言われています。

欧米の友人たちに、日本人には35度代の体温の人が結構いる。
と話すと、絶対に信じません。
「それでは死んでいるも同然だ」
という反応です。
35度代の体温って、欧米では病人以外にはいないと言います。

ですから、現在の日本は前代未聞の低体温時代になっていると思います。

現在、平均寿命を伸ばしているお年寄りたちは、戦時中、戦争直後と素食に耐え、
不便な生活のため、身体をよく動かしてきた世代です。
結果として、そのような生活は、健康な身体を作ってきました。
人間は、飢餓状態に近づくと、生命力がアップしてくることが分かっています。
体温も平均で37度、あったわけです。

その世代が居なくなった後は、坂道を転げ落ちるように、日本人の平均寿命は下がっていくと思っています。
それは、多くの医者も指摘していることです。

ヨガをしっかりと続けると、呼吸が深くなり、筋肉の量も増えて平均体温も上がります。
体温の発生源は筋肉です。その筋肉をつけるためにも、負荷の大きいアーサナも必要になります。そして深い呼吸。

ガンが発生しやすく、増殖しやすい体温は35度代です。
ガンが死滅し始める体温は37度以上です。
体温が2度上がることによって増加する免疫力は約6倍です。

ヨガを長期間、続けていると、健康になる。というのは、
体温が上がり免疫力がアップするというのが、その理由の一つだと思っています。






「ヨガと筋トレ」

ヨガをやっていくのに、ウェイトトレーニングや腕立て伏せなどの
ヨガとは別に行う筋トレは必要ではないと思います。

負荷の大きいアシュタンガヨガでも、そうだと思います。

私は、全く筋トレはやっていないのか?
と言われるとそうではなく、
アームバランス系の練習を、普段の基本的なアーサナとは別にやっているので、
それが筋トレの役目を果たしていると思います。

しかし、ポーズ自体が筋トレになっているということですから、ここで言うところの、別に行う「筋トレ」とは違います。

しばらく、プッシュアップバーを利用して、
片手腕立て伏せとかハードな筋トレをしていましたが、
やはり、ヨガやアームバランスで使う筋肉とは、微妙に使う部位や使い方が違います。
あまり効果がないようなので、止めてしまいました。

それで、例えばチャトランガを練習する時に、
長時間姿勢をキープするとか、身体をあと少し深く下げてみる。
そういった工夫でヨガに必要な筋力は付いていくと考えています。

このマユーラーサナのバリエーションのようなポーズは、ベントアームプランシェというサーカスアートの基本練習みたいなポーズですが、
普通、両肘か片肘を支点に、その上に身体を乗せます。
マユーラーサナも両肘をくっつけて、その上に身体を乗せます。

しかし、支点なしで、腰幅より腕幅を広くして、肘の上に身体を乗せずに
上腕三頭筋と腹筋を主に動員して、腕立て伏せのように身体を持ち上げると、
相当な筋トレになります。

これは極端な例ですが、基本的、入門的なアーサナにも
ちょっとした工夫で筋トレになるものは、結構あると思います。

アーサナは完成形に近い形で行うべきだと思いますが、
練習過程においては、いろんなバリエーションや、工夫があってもよいと考えています。






2016年9月22日木曜日

「みんなのヨガ」


マガジンハウスの看板雑誌、ブルータスが特集した
「みんなのヨガ」。
2005年発刊です。
書店で「オッ!」と感動し、即買いした記憶があります。

専門誌ではなく、一般紙が特集するヨガは面白いです。
専門誌では見えてこない視点があります。
特に、カルチャー物では定評のあるブルータス。
この本は「買い」でした。

10年経った今でも、時々見ています。
ハリウッドセレブたちがヨガを始めるきっかけになったスーパーモデル、クリスティ・ターリントンも紹介されています。
私がマリ・クレールの仕事でクリスティ・ターリントンを撮ったのが2001年頃、
ヨガ絡みの撮影でした。
2000年頃から2005年頃は、ヨガの普及する勢いが、凄い時代だと思っています。

ケン・ハラクマ先生のエッセイも素晴らしい。
ぜひ多くの方に読んでほしい内容です。
まだ探せば、アマゾンに、バックナンバーか程度のよい古本があると思います。



「ユニークなヨギ」

私は、数ヶ月前からInstagramをやっています。
それまで約8年間、FBをやっていて、
日本人としては最もベテランの部類に入っていたのですが、
本来、こういうSNSには興味がなかった人が参入してきて、荒れてきたので、
きっぱりと止めました。

皆がやっているから。と始める人が参入してくると、
どんな分野でもレベルが下がり、荒れてきます。

Instagramは、基本的に国境がない媒体です。
その証拠に国籍を明記している人は少ないです。私も明記していません。

共通語は英語。
英語以外の母国語だけで発信していると、
ぐっと回りの世界が狭くなって
情報も限られたものになってきます。
ですから、Instagramは、英語で発信しています。
日本語の補足も加えることがありますが。

ヨガの公用語も英語です。
インド人も、インド国内でさえ、英語で教えていることが多いです。
書籍もほぼ英語です。

ですから英語で発信していると、海外のヨギ、ヨギーニとの繋がりが飛躍的に広がってきます。いろんな情報に接していると、客観的に状況が掴めてきます。

私は英語は仕事で使っていて、英語圏にも住んでいましたが、
Instagramでは、義務教育終了程度の英語で、興味分野のボキャブラリーさえあれば、コミュニケーションは十分にとれると思います。
そして、Instagramを英語で始めると、英語力はアップすると思っています。

そのInstagramでお付き合いしている海外のヨガ・ティーチャーの中でも、
最もユニークな存在のひとりが、このセティンさん。

彼のプライベートのサイトをフォローしていますが、私に興味をもっていただき、フォローしていただいています。
私がアップしたアーサナは必ずチェックされているので、こちらも励みになっています。

そして、彼のアップされた記事を読むにつれて、そのユニークさを知ることになりました。

最初ギリシア人かと思っていましたが、
彼は、トルコ人です。
出家して修行された仏教徒です。

修行されたのは、インドのダラムサラにあるチベット亡命政府の僧院。
ダライ・ラマ猊下が住んでおられることでも有名なところです。

子供の頃は、格闘技とアクロバット(多分サーカスアート)を学んでいて、
その後ヨガを知って、ヨガを学ぶことになったそうです。
ヨガを始めたのは、多分、二十歳前ではないのかと推測しています。
セティンさん、多分、先生にはつかずに、自分で学ばれたのだと思います。

身体能力、アーサナの習熟度については、写真のデモを見ていただければ分かりますが、

素晴らしいのは、サンスクリット語のヨーガ・スートラをトルコ語に翻訳、出版されたということです。

彼はサンスクリット語を含め、5ヶ国語できるそうです。
トルコは歴史的に宗教と民族の大移動にさらされてきた地域なので、
このあたりは語学に堪能な人が多い地域です。

そして、ダラムサラ、モンゴル、プラハ、アテネ、トルコの各地で、Yoga retreat(ヨガの合宿のようなもの)を開催されていますが、ネットやInstagramで告知すると、大体、その日の内に予約が満杯になり、世界各国からヨギ、ヨギーニが集まってきます。

ヨガビジネスの観点からしても、やはり、世界各地で活動できるというのは理想で、何より、ヨガには国境がないので、セティンさんのハタヨガを広めるという意味においても、理想だと思います。

彼がユニークなのは、彼のヨガは、仏教の教えを中心にしているということ。
瞑想が核だということです。
パタンジャリも密教時代の仏教に帰依していたということが分かっています。

そして、彼の素晴らしい、高度なアーサナは、アドバンスクラスで、学びたいものが学ぶというシステムになっているようです。

自分で様々な有意義な経験を重ねてきた方は、ノウハウが本物です。

そういう方の存在を知ることができる。
というのもネット時代の醍醐味です。

私が、今、一番参加したいのは、セティンさんのダラムサラのYoga retreatです。

2016年9月20日火曜日

「バランス系のコツと基本」



上の写真はヴィーラバドラーサナ(virabhadrasana)。
両足を着いたバージョンは戦士のポーズと呼ばれる有名なアーサナです。
私は、難易度の高いバランス系に入る前には必ずこのアーサナを練習しています。

このアーサナの画像をGoogleで多数見ましたが、
顔が起きているパターン。
足のかかとが直角になっているパターン。
身体が反っているパターン等様々です。

おそらく、どれも、それなりにバランスや集中力の練習になりますが、
私がいつも行っているこの姿勢は、
○体重を散らす。
○バンダをより強力に締める。
ということを目的にやっているものです。

このアーサナ、一応身体が水平になってバランスをとった時点で、
さらに、手先と足先を少し前後に伸ばします。
立ち位置のヴィドラーサナで腕を前後に引っ張るように伸ばすのと同じ要領です。

すると、ぐっと、ウッディヤーナ・バンダが締まります。
そこで、さらにぐっと手と足を前後に伸ばすと、体重が2つのベクトル上に分散して、軸足にかかっていた力がフッと軽減されると同時に体重も軽くなったような感じになります。

これは、片手アームバランスなどの、腕にかかる大きな力を分散するテクニックと同じです。

これと同じバランスの取り方をしたのが、下の写真のアームバランス(ベントアームプランシェ)です。ヨガのマユーラーサナに近いですが、
手は順手、腕は腰幅です。

これも、顎でリードした上半身の前方への動きと、両足のつま先を伸ばした後方への動きで、バンダを締め、バランスをとりつつ、体重を散らしています。

ですから、バランスがとれた時点で支えている腕への負担は少なく、
筋力はそれほど必要ではありません。

ヨガでは、ヴィーラバドラーサナもマユーラーサナも、
足先は直角かそれに近く曲げる方がいますが、
ウッディヤーナバンダをより強力にするためには、
つま先は伸ばした方が良いと思います。

試しに、直立姿勢で、かかとはつけたまま、両腕を肩幅のまま上に上げて、ウッディヤーナバンダをやってみてください。
そして、バンダを締めた状態で、つま先立ってみてください。
そうすると、自然にバンダが、より深く締まるはずです。
これは、つま先を伸ばすことで、可能になります。
そして、そのままの姿勢で腕をさらにぐっと上げてください。
すると、さらにバンダは締ります。

このつま先と腕、腕で支えている場合は首から顎、それを伸ばすことでバンダがコントロールできます。

倒立でもつま先をぐっと伸ばして、引き上げて、腕を地に押し付けて伸ばすと、バンダがぐっと締まり、体重をあまり感じなくなり、身体は安定して伸びます。

つま先立ち。
実はこれと同じ練習を、競泳のバタフライの練習でも、
プールサイドの壁などを利用してやります。
そのときは、お腹を締めて、バンダと全く同じ動きを練習します。
バタフライも両手で水をかいて、ダイブしたあとに、身体が一直線になりますが、
そこで、足先はぐっと伸ばし、このバンダで身体を安定させます。
そうすると、身体が一直線になり、前面投影面積が狭くなり、水の抵抗が減ります。

ですから、ヨガもスポーツもバランスをとること、身体を安定させる原理というのは、変わらないと思っています。
同じ人間の身体ですから。

「剣を飲み込むヨギ」


世界的に現在のヨガのイメージが普及したのは、1980年代以降だと思います。
全米ヨガアライアンス協会ができてから、大体、共通のイメージは定着してきたと思いますが、1970年代以前のヨガは、混沌としたイメージしかなかったと思います。

というのも、様々なヨギやサドゥが、密教的に、あちこちで、いろんなヨガを伝えるのがヨガの形態だったからです。

それは現在も、インドでは続いていますが、日本でも、以前はなかなかユニークなヨギが多かったです。

写真は剣を飲み込むヨギですが、インドのサドゥだと思います。
剣を飲み込む芸はサーカスにもありますが、仕掛けがある場合と実際に飲み込む場合があります。
この写真は実際に飲み込んでいます。

喉から十二指腸まで、意識的に膨らませて空間をつくり、一直線にしているのだと思います。以前レントゲン写真を見たことがあります。
でないと、内臓の内壁を傷つけてしまいます。

この、喉から、胃を意識的にコントロールするという技は、彼のヨガの修行の賜物で、素晴らしい肉体コントロールだと思います。

この剣を飲み込むヨギ、私がヨガを始めた頃、日本人にもいました。
そのヨギもこの写真よりもっと大きな剣を飲み込んでいました。
写真からすると、多分、インドでサドゥをやっているような雰囲気でした。

あと、

口から、長い紐を飲み込んで、肛門から出して、ごしごし、内臓の掃除をするヨギもいました。
紐を飲み込み、それを内蔵を意識的に蠕動させながら、紐を肛門まで持って行くという技です。

これらのヨギには、インチキもありましたが、レントゲン写真などで、できるということが分かっています。

こういうことは、そのヨギ、ひとりしかできませんし、伝えるものでもありません。
これも、ヨガです。究極のヨガのひとつだと思います。

こういう超人的な技や、最近話題になった70年以上も飲まず食わずのサドゥとか、ヨガを、本来の目的である、真理、悟りへの探求の道と定義すると、様々な形態があるのがヨガです。

というか、こういう修行の総称がヨガというものだと思っています。

お釈迦様は悟りに至る過程で、全身を縛って木の枝から逆さまに吊り下げられる荒行や、長期の断食も行っています。

ヨガとは本来そういうものだと思います。人の数だけその形態があり、過程があるのだと思います。
そして、長い歴史のほとんどは、そうやって多くのサドゥによって伝えられてきたものです。

2016年9月19日月曜日

「バランス系のコツ」


先日アップしたアクロバティック・アームバランス。
最も楽にポーズできたときの写真です。
3秒おきに自動シャッターで撮ってあります。

自分の動きを動画や静止画で撮ると、とても良い反省材料になります。
そして、モチベーションアップになります。
特に、このように2〜3秒間隔で静止画で撮ると、
重心移動の経緯が正確に分かって、今後の練習の指針にもなります。
上手くいったときの映像はイメージトレーニングとして最適です。

コンパクトデジカメでも撮影の間隔を調整して自動撮影できる機能は多くの機種にあると思いますし、
一番簡単なのは、iPhoneムービーの自撮りです。
そのムービーから静止画を切り出せば、同じように確認できます。
iPhone用の安価な三脚が多く出ているので、それにセットすれば、OKです。

ヨガでは、逆転系もバランス系もアーサナのスタートのときは、ほとんど手の高さと足の高さは同じです。しかし、この写真のように、足が手の位置より下にあって、それをスムーズにリフトアップするには、タイミングと重心移動がよりシビアになります。

例えば、シールシャーサナ(頭立)で足をまっすぐに伸ばしたまま持ち上げる時に、高さ数センチの台の上に頭をもってきて、頭より足の位置を低くして、そこからスタートすることを考えると良くわかります。

凄く力が必要になると思われますが、これは、この写真のアームバランスと同じで、体重移動とタイミングで上がるようになります。その上がり始める「ポイント」が全てです。
力任せで上がるの多分10代まで。
もちろん、最低限の筋力と柔軟性は必要です。

こういうポーズは、この写真のような同じ過程を繰り返し練習するではなく、
手と、足をスタートの位置に置いて、少し身体を移動させて、身体の重心と身体が上がりかける位置とタイミングを探す練習を繰り返す簡易型練習だけで、ほぼ上がるようになります。

そのあと、バランスをキープして美しい姿勢を保つことになりますが、
まず上がればほぼ完成です。
多分、ヨガの多くのバランス系アーサナに応用できると思っています。

ご参考までに、この写真のアームバランス。
私は、2つタイプを練習しています。

ひとつは、腰骨の出っ張りを左肘か右肘のどちらかの上に乗せて、それを支点にやじろべえのようにリフトする方法。両方で出来るようにします。

これは、バランスをとったあとに、片手を離して、支点に乗っけた片手だけでバランスをとる片手アームバランスが完成形です。シルク・ドゥ・ソレイユでよくやっているポーズです。まだ出来ませんが、完成を目指しています。

もうひとつは、両手の脇を締めたまま、支点なしで、リフトする方法です。
こちらは、力技です。
一回やると、その日は練習になりません。

このときの練習時間は、インターバルを含め約5分。
基本的なアーサナが正確にできて、最低限の筋力、柔軟性があったら、練習は、時間ではないと思っています。

自分的には、初歩的なアーサナから、このようなアクロバティックなものまで、コツは同じで、上達の過程も要領も変わらないと思っています。ですから、いかに基本が大事であるかと、いつも再認識しています。

2016年9月18日日曜日

「インド人の本音と建前」

以前、酒席で盛り上がったインド人のラームさん。
ラームさんはシリコンバレーとインドに会社を持つ元プログラマーの社長さん。

実は、私とラームさんには、大きな2つの接点がありました。

ひとつは、私がアメリカに住んでいる頃に仕事で行った、ベル研究所(ノーベル賞受賞者が6名いるアメリカの頭脳的な研究所)で働いていたということです。

私が行ったちょうどその日、偶然、研究所の年に一度の火災避難訓練で、
全研究員が庭に避難していました。

その様子を屋上で見ていたのですが、皆、自然と人種別に集まっていました。
そこにインド人の一団がいて、
私は、「あれはインド人ですか?」と担当の方に聞いた覚えがあります。
実は、その中にラームさんが居たのです。

もうひとつは、ラームさん、私が敬愛するBKSアイアンガー師と知り合いで、ラームさんは家族でアイアンガーヨガをやっていました。

まあ、昔から、私にはこんな事がよく起こるので、またか。という感じであまり驚かなかったのですが、そんな接点が分かって、二人で大いに盛り上がっていました。

酒席で料理というかおつまみを頼むことになって、
メニュが回ってきました。
酒席は、10名ほど。インド人はラームさんだけ。
ラームさんは私がヨーガをやっていると知ったためか、
「井手はベジタリアンだよね」
とそっと私に耳打ち。
ラームさんはヒンズー教徒で、彼を含め彼の会社は全員ベジタリアン。
「ええ、もちろんそうです」
と私。
で、ベジタリアンにも大丈夫なように冷奴と豆のフライ等をたくさん頼みました。
冷奴を食べていると、そこに別の人がオーダーしたカキフライが並びました。

ラームさんが、私に「これは何だ?」と聞くので、
私は、「これはオイスターフライです。まあ、このようなパーティーでは、友好親善のために牡蠣くらいは食べてもよいと思っています。ここだけの話ですけど」。

と言って、カキフライをひとつぱくっと食べると、
ラームさんは、とても安心したように、私に続いて、黙って、カキフライを美味しそうに食べました。

以前、目の前で見た、お酒をこっそりと呑むイスラム教徒のような感じで、とてもほほえましい光景にますますラームさんの事を気に入りました。

多分、ラームさんは、次の日からは、また敬虔なヒンドゥー教徒としてベジタリアン生活に戻ると思いますが、こんな「なんちゃって」的、本音と建前の世界ってとても大事だと思います。

人生ってこんな本音と建前の世界を何食わぬ顔して使い分けると、とても楽です。
ただ、ラームさんも私も肉だけは絶対に口にしません。
その最終ガイドラインを守っていたら、なんちゃってベジタリアンでも、良いと思っています。


「犬のカラスのポーズ」

犬のカラスのポーズ。笑。
ロープの上はさすがに無理ですが、犬に負けじと椅子の上でカラスのポーズ。

犬の写真はYoutubeの動画ですが、やっぱり動物は天才だ。笑。
https://www.youtube.com/watch?v=l5IwdgWdypg

2016年9月17日土曜日

「ヨガ本来の姿」

写真はBKSアイアンガー師のヴィンヤサです。

映画「聖なる呼吸」が評判ですが、予告編を見たときに、
これは欧米の人間が見たヨガの一側面だな。というのが直感的に分かりました。
映画はまだ観ていませんが、DVDが出たらじっくり観てみたいと思っています。

この映画は、モダンヨガの創始者クリシュナマチャリア師の弟子と関係者のインタビューで構成されています。
その中の弟子の一人、BKSアイアンガー師の10年ほど前のインタビューがYoutubeにアップしてあります(以下)。

これは恐らくヨガ歴史研究者のアイアンガー師へのインタビューだと思いますが、
アイアンガー師は結構、真相と本音を語っています。

https://www.youtube.com/watch?v=UCjEyjXO_Xw

アイアンガー師がクリシュナマチャリアの弟子だった頃の回想をまとめると、

○クリシュナマチャリア師は、王族と軍属にヨガを教える教師だった。
○BKSアイアンガー師も軍隊担当だった。
○クリシュナマチャリア師は、特に軍属にヨガを教えるにあたって、精神的なものは必要ないと考えて、身体的な能力を向上させるためにヴィンヤサを考案した。ジャンプフォワードのテクニックがその典型。

1938年にヴィンヤサを紹介するムービーが撮影されています(以下)。

https://www.youtube.com/watch?v=LUvOuik-g4c

デモしているのはクリシュナマチャリア師とアイアンガー師です。
アイアンガー師がデモを担当しているということは、アイアンガー師がクリシュナマチャリア門下で最も身体能力が高かったのだと考えるのが自然です。

そして、クリシュナマチャリア師からヴィンヤサの普及を最も期待されていたのは、アイアンガー師だったと思います。

その証拠に、最初に世界各地でヴィンヤサを紹介したのはBKSアイアンガー師です。
日本でもそうでした。

ですが、アイアンガー師は、モダンヨガの聖地マイソールを離れ、プーナに移っています。そして、ヴィンヤサが特徴であるクリシュナマチャリア師のヨガとは訣別しています。

アイアンガー師はインタビューの中で、60歳を過ぎようとしている人間にヴィンヤサを教えてどうなる?
ケガをするのが関の山だろう?と述べています。

アイアンガー師は、誰にでもできるヨガが、自分が教えるヨガだという信念を持って、ヴィンヤサと訣別したのだと思います。
そもそもヴィンヤサの成り立ちは軍事訓練だからです。

現在、インドのヨガ指導者で、インド国内に最も弟子が多いグル、ババ・ラムデブ師。
現インド首相も弟子で、ラムデブ師の率いるパタンジャリ・ヨガ・ピースは、インドの国家的なバックアップのもとに、広大な土地に、ヨガセンター、大学、アーユルヴェータを元にした診療所を抱えています。

そのラムデブ師、インタビューで、ヨガのアーサナは誰でも5分以内にマスターできるようなものでなくてはならない。と述べています(以下)。

https://www.youtube.com/watch?v=8_jchTPUsiE

私は、体力維持のために、アクロバティックな練習もしていますが、
ヨガは誰にでもできるものである。というのが自然であり、本来、ヨガはそういうものだと思っています。

身体的にもっと極めたい、苦行してその先を見たい。
という人は、私のように、勝手に、個人の裁量と判断のもとに、それをやるべきだと考えています。

ヨガに対する同じ考え方のアイアンガー師、ラムデブ師の活動にも参加されていました。
アイアンガー師亡きあと、私が最も賛同するグルは、ラムデブ師です。







「恐怖の満月の夜」


本日は満月、アシュタンガヨガは練習お休みですが、
滿月下でヨガを楽しむ教室もちらほら。

私は昔から、満月の夜は絶不調です。
おそらく月と地球の引力の関係でそうなるのだと思いますが、
そういう方も少なからず居ます。

満月の夜は事故が多いそうです。統計でもそれは証明されています。
そして、長い歴史の中で、多くの猟奇殺人事件は満月の夜に起きています。

私は90年代、長期間、海外ロケであちこち回りましたが、
ウィーンに滞在しているときの話です。
日本人が想像する以上にウィーンは東欧やバルカン半島の近く、
そのあたりのひとたちが大勢ウィーンに住んでいます。
私が行ったころは20ヶ国語が飛び交っていると言われていました。
ロマ(ジプシー)も多く、よく街頭でライブをやっていました。

そのロマ(ジプシー)の占い師から声をかけられたことがあります。

ジプシーには警戒していたので、これは、ぼられるゾと思い、一度は断ったのですが、
無料で良いから占わせてくれ。あなたは、ちょっと違う。
と言われ、彼女の素直そうな眼を信じて、占ってもらいました。

彼女は占いが終わると、やっぱり。というような顔をして、私に言いました。

「あなたは前世で、ヴァンパイア(吸血鬼)だったことがある。それは今、封印されている」
といったような内容でした。

ヨーロッパに前世という考え方があると驚きましたが、
ロマは、もともと北インドが起源で、ロマのご先祖様はインド人です。
そこから来ているのかな。なんて考えました。

ところが、あとでよく考えてみると、

○私は満月の夜に寝込んでしまうほど絶不調になる。
○肉が身体に合わず、肉の血の匂いが生理的にだめ、吐き気がする。スーパーの肉売り場が超苦手。現在はベジタリアン。
○代々キリシタンだった家系に生まれてカトリックの洗礼を受けている。
○修道院でボランティア活動しているときに、なぜか、あなたにとって必要だろう。と言って、ドイツ人の神父から、悪魔よけのメダイ(写真)をいただいた。
○ニンニクが大好きである。

大体上記のウィーンの話しと私の特性をFBに書いたら、物凄い反響で、霊能者をはじめ、いろんな方からコメントをいただき、凄いことになりました。

ある親しい霊能者は、
上記のことは、全てヴァンパイアを封印した結果のことである。
という分析でした。

よく考えると、なるほど、
ヴァンパイアが最も嫌うことが、自分の特性と一致しています。
まあ、考えて悩んでみても仕方がことではありますが、、、。

そして、とどめが、写真のメダイ。

スタッフ4名とイタリアロケ中、車で移動中に霧で道に迷い、たどりついた修道院。
そこに私が首から下げていたメダイと全く同じものがありました。
それを修道士に見せたら、
「そのメダイは、この修道院でしか作られていない。帰ってきたんですね。」
とにっこり。

霊能者からは、、私は前世で、その修道院に居た。それは間違いないと言われました。
その修道院は設立は7世紀ころです。ドラキュラ伝説のずっと前のことです。
もしかしたら、そこで封印されたのかも。

そして、オーストリアロケでは、その後、不思議な事件が2つ続きました。
ひとつは、しっかりと写真に収めていて、それは雑誌にも掲載されました。
今も手元にあります。

それは後ほど。


今晩もいろいろと妄想しながら、お酒を呑むことにしています。

みなさん。よい満月の夜をお楽しみください。

「ヨガをやることと寿命の長さ」

ヨガをやることと寿命の長さ
は、ほぼ、関係ないと思っています。

しかし、

ヨガを長期間やっている人は、不健康な死に方はしないと思っています。

著書3冊を贈っていただき、ヨガを始めるきっかけを与えていただいた藤本憲幸師が今年69歳で亡くなられました。
健康法の大家だったのでショックでしたが、突然死でしたので、ああ、寿命が来たのだな。と冷静に捉え直しました。

ヨガ=長寿というのは、関係ないと思っています。
番場一雄師も沖正弘氏も平均寿命前に亡くなっています。
両氏とも、ほぼ突然死です。

中村天風師、パタビ・ジョイス師、BKSアイアンガー師が90歳を超える年齢で亡くなっていますが、長寿の方だと思っています。

遺伝子学が発達した現在では、遺伝子のテロメアが無くなると人間は寿命を迎えることが分かっています。
そのテロメアの長さは人によって違います。テロメアは加齢で短くなっていきます。
もちろん、生活習慣等が原因で、テロメアが傷つき、
寿命の前に亡くなるかたも大勢います。

ヨガの大家には、余命宣告を受けたりして、生きるためにたどり着いたのがヨガだったという方も多く、もともと、身体に問題を抱えていた方も多いです。
大病でテロメアが傷ついていたのかもしれません。

ですから、ヨガは健康寿命を伸ばすには効果があると言った方が適切だと思います。

前述の藤本憲幸師ですが、もともと虚弱体質で、確か中学生の頃に余命宣告を受け、ヨガで蘇生された方です。
それでヨガの素晴らしさに開眼して、それを伝えるためにヨガの先生になられた方です。
当時のヨガの先生方はそういう方が多かったです。

ですから、一般的に言っても、もともと短命な傾向の方が多いのだと思っています。

実は、私も、生まれてすぐに、当時、世界的に有名になった公害で、瀕死の状態になり、
そのときの高熱で左耳の聴力をなくしました。
そして、医者からは二十歳までの命だろう。
と半ば余命宣告をされたことがあります。

多くの被害者は亡くなったり、脳性麻痺で植物人間になりました。
私は幸運な方でした。
今でも私は国の公害認定患者で、補償を受けています。

発症して小2までは、一生の病気の苦しみを一気に味わったような状態でした。
痛みがひどいときはモルヒネ(麻薬)を注射してもらっていました。

3年生頃から、急速に体調が回復して、その後、始めた柔道や水泳、体操は、半ばリハビリ的なもので、強くなるために必死でした。

幸いにして62歳の現在でもピンピンしていますが、
精神的に、余命宣告の20歳は、ひとつの大きな山でした。

そんなときに出会ったのが藤本先生。
ヨガで蘇生された体験を知り、飛びつきました。
私も命に不安を抱えていて、それがヨガを始めた一番の理由でした。

私のテロメアも恐らく公害の影響で大きく傷がついていて、
寿命も短くなっているのかもしれません。
ずっと、50歳が次の壁だろう。と考えていました。

やはり命に関わる体験は、その後の人生に大きな影響を与えます。
というか、人生観、世界観が大きく変わると思います。

自分がヨガを始めたのも、若い頃から好きなことを仕事にしてフリーになったのも、
思い切って海外に移住して、仕事をしたのも、自分の幼少体験が大きく影響していると思っています。

あまり先の事を考えない、これまでの人生だったと思います。

私は、幼少体験がなかったら、おそらくヨガはやっていなかったと思います。
柔道も、水泳も、体操もカラテもやっていなかったと思います。
好きなことを仕事にして独立もしていなかったと思います。

そうしたら、今の自分はないわけで、
そういうことを考えると人生は面白いですね。

今まで、生活習慣になりすぎて、ヨガのことは意識してこなかった自分ですが、
今、ヨガをやってきて本当によかったと思っています。

動機は何であれ、ヨガに出会って、それを楽しむ方が増えるのは嬉しいことだと思います。

2016年9月16日金曜日

「嫌いなアーサナは気持ちが良い」



嫌いで、避けているアーサナがいくつかあります。
写真の2つもそれ。
クールマーサナと鳩のポーズです。

クールマーサナは、みなさんご存知のように、
開脚して膝を少しくの字に起こして、そこから腕を差し込んで、膝を伸ばす圧力で腕と上半身を床に押し付けるようにします。

私はずっと右肩にトラブルがあった時期があり、
その方法だと、ある位置にくると右肩に電流が走るような痛みが出ていました。
それで、写真のように、まず開脚して、最初にお腹を床に付けてしまって、
それから足の下に、すでに床に付けてしまっている腕をすべりこませる。
という方法でやっていました。
右肩の痛みと、この方法が面倒なことで、随分とクールマーサナは避けていました。

鳩のポーズはそもそも、女性の体型向きだと思います。
Google検索やInstagramで検索しても、
男性がやっているものは数えるほどしかありません。
このアーサナもポーズを決めたときは、結構きついです。

しかし、この2つのアーサナ、やった後の爽快感は格別です。
多分、避けているということは、動かしていない部位があるということで、
そこを動かしてほぐれたときの爽快感が、他のアーサナより大きいのだと思います。

なるべく苦手なアーサナがないようにしていますが、
いつの間にか、疎遠になってしまうアーサナがあります。

逆に、トライしてその場でできてしまうようなアーサナも、
できるんだから。と疎遠になってしまうことが多いです。

それで、ブログやInstagramにできるだけ備忘録的に練習を記録して、
疎遠になるアーサナがないようにはしていますが、
そもそも、やりたくもないアーサナもあり、その数も多いです。

まあ、人生と、時間は限られているので、これをやりたい!
とぴぴっときたアーサナだけを確実にできるように。と心がけています。

「ヨガを楽しむ」



先日は、曇、高温多湿、ほぼ無風のヨガ日和だったので、
家から走って5分の海岸の岩場まで練習に行きました。

2〜3、アーサナとプラナヤマをこなしたあとに、
アクロバティック・アームバランス(シルク・ドゥ・ソレイユなどの曲芸アートの練習のような体操、マユーラアーサナに近いです)をやってみました(写真)。

ヨガとスポーツ・曲芸の大きな違いは、その目的です。
乱暴に分類すると、
スポーツは競技に勝つため、
曲芸はデモンストレーションのため。
ヨガは、自己探求。

しかし、

求められる筋力と柔軟性がある。
身体のアライメントの大事さ。
動きのモーメンタム、
ジオメトリー的な完成度を目指す。

というものは同じであり、目的に向かって練習するという、
その手段と方法論はほぼ同じです。

現在Instagramで欧米ロシアの、特にアシュタンガヨギ(アシュタンギ)とヨギーニと繋がっていて、お互い、練習写真を披露してコメントを交わしたりしていますが、彼ら、彼女らも、スタジオでの正式な指導や練習以外は、いろんな場所で、自分の創意工夫で自由に練習しています。

アシュタンガヨガは、アーサナの順番などが、厳格に決められているヨガですが、
その彼ら彼女らが屋外のいろんな場所でヨガを楽しんで、それをInstagramにアップしている姿はとても興味深いです。

様々な条件で、練習をするというのは、とても効果的だと思います。
エチオピアやケニアの長距離走選手は普段はクロスカントリーで山野を駆け巡っています。それが彼らの無敵の筋力や持久力を生んでいます。

ヨガも砂地、草原、いろいろと条件を変えてやってみると、いろんなバランス感覚を刺激でき、普段使わない筋肉も効果的に鍛えてくれます。

下のハンドスタンド・スコルピオン(倒立サソリのポーズ)の女性は、Instagramでお友達のシドニー・レスナーさん。世界的なアシュタンガ指導員のキノ・マクレガーさんのアシスタントです。最初にコメントくれたのは、私が自分の、倒立サソリのポーズの写真をアップしたとき。
彼女、これが得意なようで、コメントをくれて、それが縁になりました。

彼女もいろんな場所でポーズしていますし、師匠のキノさんは、もっと過激です。

これはアトラクションのような感じがしますが、技術の向上にとても寄与すると思っています。楽しんでやっている事は一番身につくからです。

大自然の中で、自分のレベル、創意工夫で練習することはとても有意義だと思っています。安全に関しては自己責任ですが、バランスを崩したときのエスケープ(回避方法)を身に着けた上で行うことが前提です。

2016年9月15日木曜日

「蓮の花が咲くように」

写真は、BKSアイアンガー師の著作物。
実は、これらは、アイアンガー師が友人に送った本です。

本を送られたアメリカ人の友人、ヨガをやらない方で、
その後知り合った私に、プレゼントしてくれたものです。

時々ヨガ道場に練習に行く以外、手探りでハタヨガを覚えていた自分にとって、昔からアイアンガー師の著作はお手本のようなもの。今では、家にある石仏の脇に置いて、必要に応じて閲覧しています。

しかし、なんと言ってもプラナヤマについてだけでも一冊執筆されているところが凄いと思います。バンダの説明もかなり詳細。

人生訓のような本もありますが、とても興味を引いた師の言葉。

「蓮の花が咲くようにポーズしなさい」

「私は自分のヨガをアイアンガーヨガと名付けてはいない。周りが便宜上名付けたものだ。私のヨガはハタ・ヨガだ」

アイアンガー師はアーサナを行う際の身体のアライメントにとてもうるさい方で、あまり、美しさについては無頓着なのかな。と勝手に想像していましたが、
「完成形に近いアーサナは美しい」「どんなアーサナでも美しく表現しなさい」
ということだと思います。
確かに若い頃もお年を召しても、アイアンガー師のアーサナは、無駄がなくとても美しいと思います。

その蓮の花が咲くように。を私は常に頭に入れてアーサナを行ってきました。

「蓮の花が咲くようにポーズしなさい」

とても、素晴らしい言葉だと思います。

アイアンガーヨガという名前は、おそらくアメリカ人が、アイアンガー師のハタヨガを広めるにあたって、他と差別化するために命名したのだと思います。

キリスト教プロテスタントに様々な名前が付いているように、いわば「布教」用の名前だと思います。師は仕方なく使っているようにも見えました。

Youtubeにアップしてある、アイアンガー師のインタビューで、

「最近の様々なヨガをどう思いますか?」

という問いに、

「ヨガも科学や芸術と同じで進化するものだ。それで結構だ」。
と即答されています。

おそらくインド人の気質からして、自分のヨガにおいては、妥協はしないが、他の価値観は寛容に認める。といういわば、本音、建前のようなものが垣間見える感じがします。

以下、そのインタビューリンク


ハワイのアメリカ人友人のところにやってきたアイアンガー師は、パーティーの席で、大道芸的なポーズを披露して、皆大喜びだったと言います。

クリシュナマチャリアのモダンヨガを世界中に広めたアイアンガー師。
そこで得た利益はほとんど、師が設立された動物を保護するための環境団体に寄付し、
とても質素で厳格な生活を貫かれたそうです。
80歳を過ぎても、一日2〜3時間の練習は欠かさなかったとか。

そういう師の人柄が、これらの本から良く感じられます。

私は、昔から、人の価値は、何を残したか?だけでなく、その人がどんな人生をおくったのかということで分かると思っています。その意味においても、師の生き方は素晴らしかったと思います。

クリシュナマチャリア系列のヨガは、パタンジャリのオールドヨガの影響を受けていますが、直接の繋がりはほとんどありません。

パタンジャリの精神性と古来から伝わるアーサナに、インドの格闘技カラリパヤットと植民地時代にイギリス経由でインドに伝わってきた体操の技術もミックスしたものだ。というのが真相です。ですから欧米で爆発的に普及したのだと思います。

アイアンガー師はクリシュナマチャリア門下時代は、軍人に格闘技を教えていたこともあり、そこからヴィンヤサが出来たという説もあります。
ジャンプフォワードの技術は最初は軍隊訓練用だったと、確か、上記のインタビューで述べられていました。

ですからオールドヨガのグルや関係者たちは、クリシュナマチャリア系列のヨガを体操ヨガと言って軽視する傾向がありますが、アイアンガー師がなくなり、その業績が明らかになるにつれて、とても評価する機運が高まっているそうです。

これは、古くから日本でヨガを教えている先生や、シリコンバレーで働くインド人エンジニアから直接聞いた話しです。

アイアンガー師と直接会ったこともなければ、アイアンガーヨガの教室で学んだこともない自分ですが、BKSアイアンガー師の存在がなかったら、自分はここまでヨガを続けていなかったと思います。

「ウッディヤーナバンダ」



ヨガのポーズを完成させ安定させるために、最も大事な技術のひとつがウッディヤーナバンダです。

バンダには3つの

ムーラバンダ 
ウッディヤーナバンダ 
ジャランダーラバンダ

があり、その中の一つです。
お腹を凹ませている写真がウッディヤーナバンダを強化するためのトレーニングです。
ウッディヤーナバンダは、例えば体操選手でもポーズを静止させるとき等には無意識にやっています。

ヨガでは、それを、ある程度、意識的に、より強力にできるように訓練します。

やり方は、息を吐きながら横隔膜を引き上げ、
お腹を凹ませ、最後に胸郭を押し広げ肺の体積を増やした負圧で、さらにお腹を凹ませます。慣れてくると、腹直筋が見えるようになります。

これを数秒続けます。
実際は、これを一瞬で、できれば無意識にできるようになるのが理想です。
胸郭を広げるテクニックは、実際、アーサナに応用するときには、使いません。

これは、特に、身体を水平、垂直にキープするアーサナのときに、身体をひとつの強固な板のようにロックさせるときの要になります。

下のL字倒立(ハーフベント)で、お腹の部分がきゅっと引っ込んでいますが、
これがウッディヤーナバンダで身体をL字に固定したところです。
バンダが分かりやすいので引用しました。

これは正式のアーサナではありません。ダウンドッグ→ジャンプフォワードから着地する直前に、L字にロックして、数秒静止したところです。バンダや、コアトレーニングのひとつとして時々やっているものです。

このウッディヤーナバンダがしっかりとできるようになると、
アーサナが格段に楽に、しかも、美しくなります。

シールシャーサナ(頭立)もハンドスタンド(倒立)も、すっと伸びて綺麗な人は、このバンダがしっかりと効いています。

2016年9月14日水曜日

「ヨガとケガ」

どんなスポーツをやっていても、日常生活をやっていても
ケガをするときはケガします。

アメリカの医者が長年調査した、ヨガによるケガですが、
どのジャンルのヨガにもケガの例が多数報告されているそうです。

写真は、アシュタンガヨガの正式指導員、アメリカのティム・フェルドマン氏の手首のレントゲン写真。

ティム氏は、アシュタンガヨガの世界的に有名な指導員キノ・マクレガーさんの旦那さんです。

ティム氏、長身、スリム、筋肉質と欧米のアシュタンギの典型的な体型。
まず、あれだけの経験があったら、いきなりの手首トラブルはないはずだ。
と思い、詳細を読んでみると、痛みが徐々に出てきた様子。

写真を見るとH型の印がありますが、これは、手首の舟状骨と月状骨の距離を示したものです。右が正常、左が痛みがある方。左は右より間隔が広いです。この乖離が痛みの原因です。

この写真を知り合いの接骨医に見せましたが、この手のトラブルは非常に多いそうです。

ティム氏、Instagramで、「良い医者を知らないか?」というメッセージを添えていましたが、アメリカには優秀な接骨医が少ないのでしょうか?
しばらくしたら、腕にギブスをはめた痛々しいティム氏の写真が掲載されていました。

私の推測ですが、これは、手首を酷使するアームバランスを長期間練習していたために、何かの理由でこの2つの骨あたりに余計な圧力がかかり、徐々に開いてきたのだと思っています。
多分10年20年スパンの進行だと思います。

私は柔道とカラテの経験で、師範や先輩たちからよく聞かされましたが、
手首は鍛えようがありません。
手首は生まれつき、その人の太さ、頑丈さがあって、少しは強くはなりますが、
鍛えても他の筋肉の様に丈夫にはなりません。

ですから手首には細心の注意が必要で、常に柔軟な状態にしておく必要があると思います。

話しは逸れますが、

インド古来の格闘技であるカラリパヤット。
道場はサティアンのような生活共同体になっていて、その中に病院があるそうです。
格闘技の練習中にケガが多いので病院があるのだと思いますが、ノウハウがあって、腕が良いので、地域の一般の人たちも病院として、利用しているという話しを聞きました。

ティム氏もカラリパヤットの病院に行くと意外と早く治るかも。
とは、インドに詳しいヨガの先生のお話。

この調査でちょっとショッキングだったのは、
整体的で静的なヨガで有名なアイアンガーヨガ、16年のベテランが深刻な頚椎損傷になった例が報告されていたことでした。

私は、すぐに、これはシールシャーサナ(頭立)が原因だと直感しました。
というのも、アイアンガーヨガの上級者は、30分、1時間と長時間シールシャーサナを練習することを知っていたからです。

私は最長で30分、キープしたことがありますが、バランス的にはいくら長時間でもできそうだったのですが、とにかく首に違和感を感じて途中で止めてしまいました。

私は、首周りの筋肉は、かなり発達していますが、それでも、長時間シールシャーサナをやると、しばらく首の調子がおかしくなりました。

現在では、最長で3分と決めています。
倒立(ハンドスタンド)も2分はできますが、これも手首にかかる圧力を考えて、最近では30秒で切り上げています。

ですから、ヨガの場合は、不測のアクシデント同様、長期間による、金属疲労的なケガにも留意する必要があると思っています。総括的には、身体が地面・床と接する部分、具体的には、手首、足首、首ですね。

ベテランのヨガ指導者の方はもっと多くのことをご存知だと思いますが、
スポーツや格闘技を長年やってきた自分からは、以上のようなことが見えてきました。

「シルク・ドゥ・ソレイユ」


先日は雨だったので、久々に室内でヨガをやりました。

これは、一応、マユーラアーサナです。本来、床でやるべきなのですが、傍らを見たらちょうど良い感じの椅子があったので、行き当たりばったりで、椅子の上でやってしまいました。

Instagramに、いつも、こんな写真をアップしているので、半年の間に3人のシルク・ドゥ・ソレイユのパフォーマーの方から「いいね」やコメントをもらいました。

自分より、曲芸ができる人は星の数ほどいるのに、目に止まったというのは面白いと思います。自分のヨガの写真は自撮りですが、よく、「これ体操ですか?」とか「曲芸ですか?」などと質問を受けることがあります。

というのも、私が子どもの頃、母は、
「言うことを聞かないとサーカスに売り飛ばすゾ」
と私を脅していたからです。

自分ではあまり意識しなかったのですが、身軽ですばしこかったので、サーカス向きの体型や身のこなしなのかもしれません。
しかし、それも個性。もし、来世があったら、来世はシルク・ドゥ・ソレイユのようなサーカスアートを目指すのも面白いな。と思っています。

なんて考えながら、この画像をInstagramにアップしたら、またまた、シルク・ドゥ・ソレイユのパフォーマーから「いいね」をいただきました。

この、マユーラアーサナですが、本来は逆手で両肘は付けて内蔵あたりを押すように配置します。目的は解毒のための内蔵マッサージですが、いつの間にかアームバランスになって、両手を腰幅に開き、手の向きは外側や順手でやるバリエーションが登場しています。

実は私は上腕二頭筋にトラブルをかかえていて、逆手だと痛みが走ることがあるので、いつも手は腰幅、向きは外か順手です。

本来の目的を考えるとマユーラアーサナは、この姿勢のまま、頭も足も床につけたまま、肘を内蔵に押し当てるだけで、ある程度の効果が期待できると思います。

私のInstagramはこんな写真で一杯ですが、実は、それらは、筋トレとアトラクション的存在です。余興です。
ヨガは、ずっと、プラナヤマと瞑想が中心で、それプラス、健康維持のためのベーシックなアーサナをやるのが日課になっています。

徹底的に身体のアライメントにこだわったBKSアイアンガー師も言われています。
「ヨガは瞑想だ」。
私もそう思います。

2016年9月13日火曜日

「ヨガマットの歴史?」


私がヨガを始めた1970年代には、現在使われているようなヨガマットは存在しませんでした。ヨガマットを考案して広めたのはBKSアイアンガー師です。

あと、ヨガブロックやその他のプロップ(補助道具)もほとんどアイアンガー師が考案したものです。
多分、1990年ころからヨガマットは日本に広まってきたと記憶しています。

私の友人にアイアンガー師の友人(アメリカ人男性)がいますが、
彼は、確かアイアンガー師は70年代の後半にニューヨークに講演に来たと話していましたから、ヨガマットの普及はその後になると思います。

アイアンガー師は、やはり、70年代に講演とデモンストレーションのため来日していますが、その時にヨガマットを紹介したのかは、定かではありません。

面白いのは、そのときにアイアンガー師は、ヴィンヤサを初めて日本で披露しています。

アイアンガー師は、アシュタンガヨガのパタビ・ジョイス師とともに、クリシュナ・マチャリアの元でヨガを学んでいますが、アシュタンガヨガのアイデンティティであるヴィンヤサを、アイアンガー師が紹介したというのが、とても興味あります。

その頃はもちろん、日本にはアシュタンガヨガの先生はいなかったと思います。
私は存在すら知りませんでした。

そして、現在のアイアンガーヨガにはヴィンヤサはありません。太陽礼拝も私が知る限りやっていないと思います。

そこがとても興味あるところです。

以下リンクはアイアンガー師のヴィンヤサです。1938年撮影。同時期にクリシュナ・マチャリア師のヴィンヤサも撮影されていますが、恐らくヴィンヤサを記録した最古のものだと思います。



ヨガマットは、クッションとして身体を保護することとは別に、
多くのヨギ、ヨギーニが練習するスタジオで、テリトリーをひと目で分かるようにする役目が便利だな。
と初めてヨガマットを目にしたときの印象です。

そのヨガマット、実は、インドのサドゥーで使っている行者もいます。
写真がそうです。動物の皮です。

仏陀、パタンジャリもサドゥーとして修行していたことで有名ですが、
両聖人が、戒律で殺生、肉食を禁じているのに、なぜ?と疑問に思っていましたが、
あるヨガの先生と話をしているときに、その理由を知りました。

実は、この皮を使うには、その皮を剥ぐ動物が自然死か事故死したものである。
という証明が必要だそうです。

皮を剥ぐため、肉食のために屠殺した動物の皮は使ってはいけない。
ということです。

多分、アイアンガー師はこのサドゥーのヨガマットのことを知っていたはずで、
ここから、ラグやゴムなどのヨガマットを考案したのかも知れません。

ちなみに、私は昔のヨギ同様、
基本的にヨガマットはヨガ教室に参加するときと室内で一部のアーサナをする時以外は使っていません。

元々野外で、数キロ走って汗をかいたあとにヨガをやることが多いので、
身軽であるためにも、身体ひとつで出かけるからです。
ヨガマットの代わりに帽子を被っているだけです。
帽子は、地面でシールシャアーサナ(頭立)をするときのヨガマット代わりです。