2016年10月2日日曜日

「プロとして食べていくこと」

プロ、専門職として食べていける人は、その分野を目指す人の10人に一人だと言われています。
株の世界でも、短期売買で食べて行ける人は10%だと言われています。

小説家の村上春樹が、原稿用紙とペンさえあれば、誰でも小説家宣言ができる。
とエッセイに書いていましたが、
私の職業、フォトグラファーもそうです。
特に、現在はデジカメが普及したので、デジカメを持っていれば、誰でもフォトグラファー、写真家宣言ができます。

しかし、そういう世界は目指す人、分母が大きいので、生存確率は上記の10%よりぐっと少なくなります。

最近のヨガ教室の世界もそんな感じでしょうか。

ヨガの世界をずっと見てきましたが、
先生になるためにヨガの世界に入る。
という時代になったのは、2000年以降だと思います。

それまでは、どこかしら身体が悪いからとか、メンタルに問題があるから。とか、そういう個人的な問題を抱えた人が、口コミで知ったヨガ道場に通い、ヨガに目覚めたということが多かったです。

そして、5年、10年修行しているうちに、そこに、また、口コミで自然に人が集まり、ヨガを教え始める。という、「教える」ということは、あくまで副産物で、自分を高めるということが主な目的でした。

人に教えるためには、「教える技術」というものが必要です。
それには、全米ヨガアライアンスとRYTという教育システムは、とても有意義で信頼できるものだと思います。

しかし、それはあくまで、スキルと経験が前提の保証的な性格であって、やはり根本は、その方のヨガの修行度だと思います。

ですから、一般的に言っても、最低でも10年ほどは、自分にとってのスキルを磨くべきだと思います。

これは、自分のフォトグラファーの経験からも来ていますが、基本的なスキルは割りとすぐに覚えられます。
これは、短期間集中の訓練で、1年ほどあれば、できるでしょうか。

多分RYT200もそのくらいの時間で可能だと思います。

しかし、

長い時間がないと身につかない事もあります。
そしてそちらの方が「プロとして食べていく」には重要だと考えています。

まず、技術ですが、身についている。と思っている技術は、実は本当は身についていないことが多く、
それは、様々な経験や失敗を重ねて本物になっていきます。

これはヨガでも同じだと思います。特にヨガは経験哲学だと言われますから、経験が最もモノを言う分野です。

ですから、プロとして教え始めても、常に学ぶ者として、修行が必要になってくると思います。

アシュタンガヨガの先生たちが、定期的に仕事を中断して、マイソールに修行に行っていますが、そのような、経験を重ねることが最も大事だと思います。

何の分野でもそうですが、人は、自分が相手に提供するものの対価として、お金を得ます。
その「提供するもの」は、自分の中にいつまでも無限にあるわけではありません。
その「提供するもの」を定期的に蓄積していかないと、枯れてしまいます。

それは仕事をしているだけでは、得られない性格のものです。

私の仕事もそうです。ですから、他国に移民して作品を撮ったり、ワークショップに通ったり、仕事をしたり。
そういうことの繰り返しです。それがいつの間にか財産になっている。という感じでしょうか。

ヨガは一生修行です。その修業で得たものを、教える。それがヨガ・ティーチャーだと思います。

フォトグラファーの世界でも、ただ、目の前の仕事だけしかやっていない人は、いつの間にか姿を消しています。
自分の回りでも、30年〜40年選手は、自分の個人的な作品を撮るために仕事をしている。というスタンスの方が多いです。

ヨガもそうだと思います。

ヨガは一生修行です。その修業で得たものを、教える。それがヨガ・ティーチャーだと思います。
そして、ヨガ・ティーチャーは同時にヨガ・ステューデントです。
欧米の優秀な先生は、Instagramなどに、大体例外なく、肩書にYoga Teacher & Studentと記しています。

まず、意識としては、「教える」ということは副産物であるという考えで良いと思います。

そして、自分だけの、他にはないスキルやノウハウがあって、定期的に蓄積していたら、
食べていくのには不自由しないだけの稼ぎが、神様からご褒美として与えられると思います。

2 件のコメント:

  1. 全く同感です!
    いつも人には「教えさせて頂いていますが、一生生徒なんです。」と話していたのに、プロフィールには「ティーチャー」としか記載していませんでした..Σ(゚Д゚)
    早速訂正致しました。

    「目の前の仕事だけしかやっていない人は、いつの間にか姿を消しています。」に深く納得、自分のための修行をもっと深めていこうと、改めて決心しました!

    いつも素晴らしい記事に感謝しています。

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  2. 充恵さま。
    一生修行を楽しめるヨガをやっている。ということは幸せなことだと思います。
    芸術系もそうですが、終わりがないものって、人間を向上させますよね。常に上がある。という感覚が好きです。

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