2016年10月6日木曜日

「今、生きているという喜び」


自分にとっては、ヨガのイメージ、ヨガが生活の一部として存在する場所のイメージはヒマラヤです。具体的に言うと、ネパール北部とチベット。

というのも、日本にモダンヨガが入ってくる1990年代までは、
日本のヨガはヨーガと呼ばれ、ネパール、チベット系が主流だったように思います。
その影響でそう感じるのかもしれません。

もともとヨガ本来の呼び方はヨーガです。
私の回りは、ほとんどネパール、チベット系でした。
瞑想とプラナヤマが中心で、
健康維持のために、昔から伝わっている基本的なアーサナを行うスタイルでした。

余談ですが、「太陽礼拝」は、最も新しいアーサナのひとつです。
太古から伝わっているという誤解がありますが、
恐らく、長くて数十年の歴史しかないと思います。
いろんな説がありますが、ヨガの基本ポーズとスウェーデン体操をアレンジしたものだという説が有力です。
インド人は、良い意味で、あらゆる良いものを取り込んでアレンジする能力があると思います。「太陽礼拝」もそうです。

ヨーガの話しに戻りますが

ここ150年くらいの日本のヨーガの歴史を見ると、
本格的にヨーガの教えを紹介したのは、中村天風師です。
天風師は、ネパール北部、バラモン出身の聖人、カリアッパ師の元で修行しています。
カリアッパ師はチベット仏教の僧侶だったという説もあり、
それが事実とすると、仏教系のヨーガだったと言えます。

仏教は、インドでイスラム教徒によって滅ぼされ、
ヒンズー教徒からも迫害を受けたので、
それ以降、仏教の中心はチベットに移っています。
そもそも仏陀もネパールのルンピニー出身ですから、ネパール、チベットは、
最も仏教の影響が濃いところです。

中村天風師の自叙伝は講談社版があると思いますので、
一度読まれたら面白いと思います。

私は、思想的に、中村天風師の影響を一番強く受けています。
ということは、カリアッパ師の教えの影響を受けているということです。

その教えはたった一言。

「今、ここに生きているという瞬間が全てで、それは素晴らしいことであり喜びだと言うこと」

私は60年以上生きてきましたが、これ以上の真理は目にしたことがありません。

数年前に、自殺防止のためのコンサルタントを始めて、多くの企業と契約して有名になった方が始めた会社があります。

もともと「命の電話」をボランティアでやっていた方です。

その会社の社長のポートレートを撮影しましたが、
その時のインタビューで聞いた話しです。

「これまで、自殺を失敗したり、未遂したりして、幸運にも生還した人たちの聞き取り調査を行ってきましたが、全員に共通していることがあります」。

それは、

「自殺を遂行した瞬間に、しまった!と思ったこと。そして、生還したと分かったときに生きているということが、こんなにも素晴らしいことであるのかと分かったこと」。

直前まで死のうと思っていた人間も、実は、生きたかった。
そして、生きているということが分かった瞬間、生きている喜びを噛み締めた。

生と死を行き来した人間は、ある意味「生」の意味を実地体験した人たちだと思います。
その方たちが共通して言うこと。

説得力があります。

過去も未来も概念としては自分の中に存在するが、それは実体ではない。
実体があるのは、今、その瞬間だけ。

そういう真理においては、カルマも輪廻も、仮に存在はしても、
それは過去のことであり、現在生きている自分に影響はあるのかもしれないが、
瞬間を生きているということにおいては、実体のない過去のことである。

と言うことができると思います。






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