2017年10月24日火曜日

「野菜のアク抜きは不要、肉は必要」

20年以上前の話、レギュラーで撮影していた女性誌の料理班の方とゲラを見ながら話をしたことがありますが、
インド料理ではアク抜きというのはないそうです。

ちょうどそのときカレーの特集で、東京在住のインド人女性料理研究家(アーユルヴェーダの専門家でもある)が作るカレーの特集がありましたが、インドではまず最初にオイルとカレーのスパイスで野菜を炒めて、そのまま水を加えます。

担当の方がアク抜きはしないのですか?
と尋ねると、インドではやらない。野菜の養分を捨てるようなことはしません。
そのような概念はない。
とのことでした。

最近、ごぼうのアク抜きででたアクのようなものは、ポリフェノールで、ごぼうが本来もっている重要な栄養素であることが分かりました。

自分は小豆を玄米といっしょに炊いて酵素玄米を作っていますが、あらかじめ、小豆をアク抜きして玄米に混ぜると、酵素玄米が美味しくなりません。アク抜きのときに抜けたポリフェノールや、小豆の表皮の酵素菌がアク抜きで少なくなるのだと疑っています。

ひじきは鉄分が豊富だと信じている方がいますが、
ひじきは、昔から鉄鍋で作っていて、
実は、その鉄鍋から出てきた鉄分がひじきの鉄分だったそうです。
これは科学的な実験で証明されています。

このように、日本の伝統料理や食べ物の「常識」の中にも根拠のないものが多いです。

逆にアク抜きが必要なのは、肉。
母は1928年に天津で生まれ青島で育ちましたが、家には現地の本場の料理人がいて毎日質素な本場の中華を食べていたとか。
まだ、レストランが街の中心街に数軒あるだけの時代で、ほとんどの日本人の家庭では、中国人のコックさんを雇っていたそうです。
日本人が無防備に街を歩いていたら殺された時代のこと。

その中国では、豚肉、鶏肉はかならず料理前に湯引きして血や不純物を除いていたそうです。
豚肉独特の匂いが気になる場合は、葛根湯で湯引きするそうです。

欧米や遊牧民の多い地域では、肉のアク抜きもあるし、肉の毒や匂いを除くためにハーブを使います。
そしてまず何より肉は屠殺直後に血抜きしないと老廃物不純物が肉に付着してしまいます。
ユダヤ教圏、イスラム教圏では必ず血抜きしますし、キリスト教圏でも血抜きしたコーシャフードしか食べない人が多いです。

血抜きをしないとまず、味が格段に落ちます。

日本では、漁師が一本釣りした魚は大体、血抜きします。
血抜きした魚とそうでない魚は生臭さが全然違います。それに血抜きしないと、急激に鮮度が落ちます。
漁村育ちの人たちが都会のスーパーの魚を口にできない。
というのはそのこともあります。

血は、締めた直後はとても栄養分があるのですが、少し時間が経つと急激に酸化、劣化、毒素化します。
ですから、スーパーの肉や魚は、その血を洗い流さないと、相当、身体には悪いと言えます。

最近ハラル認証という食の認証システムがありますが、
これは、イスラム文化圏でタブーとされている食材や料理法を全く使っていない。
という保証のためのシステムです。
そこには、羊、鶏肉、血抜きも含まれています。
厳密にいうと屠殺の方法まで含まれています。

これは宗教上の儀式とは関係なく、クリーンな肉を食べるための昔からの知恵です。

年齢を重ねて、日本や世界の食の文化を見ていると、いかに現在の食文化が効率利便性優先で不健康で味も落ちたものが供給されているのか分かります。

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