2017年11月30日木曜日

「砂の曼荼羅」

写真はチベット仏教の砂の曼荼羅。
仏僧たちは精緻な下絵を描いて、その上に砂を乗せて曼荼羅の世界を創っていきます。完成までに要する時間は約一ヶ月。

息を飲む美しさ、永久保存したくなるアート作品ですが、
完成と同時に、全て壊されてしまい、最後は、砂は河に流されます。

人間の誕生と、生命の輝きと死を一ヶ月の曼荼羅創作で見せられているような気がします。

どんな美しい人も、聖人も、無敵のアスリートも、最後は灰になってしまう。そのストーリーを言葉ではなく、アートで表現しているところにチベット仏教の深さとユニークさを見る思いです。

最後は灰になる。
この事が自分の事として実感できるようになると、世界は変わると思います。自分の回りの世界とは、自分が思うところの世界ですから。

1930年代に中国で活躍して、激動の時代を生きた祖父が今際の際に、
「いろいろあったが、人生はあっという間だった」
と言い残しましたが、砂となって河に流されるのは、明日かも知れない。その言葉も、自分の人生に大きく影響を与えたと思っています。

いつ壊されて流されてもよいように、毎日、今という瞬間だけに集中して美しい曼荼羅を描いていきたいものです。


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