2017年2月3日金曜日

「続・ヨガは宗教です」

2000年頃、我が家に知り合いの日本人女性がアメリカ人女性の友人を連れてやってきました。
その女性が、私のことを、
「この方はずっとヨガをやっている方よ」
と紹介すると、そのアメリカ人女性もヨガをやっているらしく、
「どんなヨガですか?」
と聞いてきました。
私はネパール系の仏教ヨガです。
と答えると、
「ヨガにはアシュタンガヨガとかビクラムヨガ、アイアンガーヨガとかあるはずよ。どのヨガ」
と結構頑固に質問してきました。

まだ、彼女はヨガを始めて間もないようで、頭に血が昇っているような状態だったので、
適当に逃げましたが、アメリカで全米ヨガアライアンスができたとき、
このような、ヨガの歴史に対する知識のない、というか誤った知識を持った大勢のヨガの先生が量産され始めたと感じました。

現在の日本のヨガシーンは、いくらインドに修行に行っている人でも、
アメリカで標準化された、ヨガの世界で生きていると思います。

アイアンガー師が常々、
「私は自分のヨガをアイアンガーヨガと言った覚えはない。私のヨガはハタヨガだ」
と困ったような感じで言っておられましたし、著書でもそう書いておられます。

私は、アイアンガーヨガというブランドを付けたのは、欧米人だと思っています。
ブランドは特許であり、それは、お金を生み出すものです。
おそらく、先生のレベルを設け、組織化したのも欧米人だと思います。

アシュタンガヨガも同じですね。
クリシュナマチャリア系統のヨガは、欧米人によってビッグビジネス化されたのだと思います。

まあ、それがあったからヨガは急速に広まったのですが、
まったく、昔からの正統ヨガとは、別の世界ができあがってしまったと思います。

先日、私が指導を受けたこともあるヨーガの先生と、SNSでやり取りをして知ったのですが、
ヨーガは、仏教とセットで、日本に伝来したそうです。
約1500年前のことです。

そして、仏教を修行する上でのトレーニングとして、自然に仏教に溶け込んだのだと思います。
座禅がそうですね。
そして、近代になると、ヨーガは宗教法人として活動するところも増えたそうです。
一般の人のヨーガに対する認知は、当たり前のように「宗教である」ということだったわけです。

それが、いきなり注目を浴びたのが、オウム真理教事件(1980〜1994年)。
私も最初、オウム真理教は、ヨガの宗教団体なのか、仏教の宗教法人なのか区別がつきませんでした。
当時の記録フィルムを見ると、アーサナの前にはしっかりとマントラを唱えています。

アーサナの前にヒンドゥー教や仏教のマントラを唱えるということ自体、
ヨガは宗教である。
という証でもあるわけで、
ヨガをやっている方の中には、なぜか、マントラを唱えてヨガをやっているのに、ヨガは宗教ではない。
と主張される方も多いです。

オウム真理教事件後、ヨガの先生たちは相当苦労されました。
マントラを唱えているとオウムや新興宗教だと思われたからです。
私もナーバスになっていました。
しかし、一般の方が、あのグループはマントラを唱えているから宗教組織であるに違いない。という見方は自然で、的を射ています。

ヨガは宗教だからです。

ヨガはヒンドゥー教や仏教の修行の一環として行われる、紛れもない宗教です。
事あるごとに引用される八支則は、ヒンドゥー教の宗教哲学的バックボーンです。
八支則はパタンジャリが作ったものではありません。

そのヒンドゥー教とともにあったのが、オーセンティックヨガ、オールドヨガと呼ばれる、長い歴史のあるヨーガです。

そのオールドヨガと、クリシュナマチャリア師とBKSアイアンガー師やパタビ・ジョイス師らのお弟子さんたちが世界に広めたモダンヨガとは、ほとんど、繋がりはありません。

BKSアイアンガー師は、アーサナ中心のモダンヨガの代表のような方ですが、
さすがに修行を積まれて、インド、ネパール、チベットの仏教界やオールドヨガの世界からも尊敬されていただけあって、
「ヨガは瞑想である。瞑想がヨガである」
とはっきりと書かれています。

現在、私は、体操かヨガか分からないこともやっていますが、

BKSアイアンガー師の、「ヨガは瞑想である」
という言葉を事あるごとに思い出してヨガに接しています。

2 件のコメント:

  1. 初めまして。
    いつもたいへん興味深く拝見しています!
    ヨガ歴は超浅い私ですが、乳がんをキッカケにハマりました。

    そうなんですよね。ヨガを始めてからオームのこととか思い出しました。

    井手さんのブログは勉強になります。分かりやすく解説してもらってる様で参考になります。

    ぶら下がり健康器、ゲットされたのですね!
    これからもブログ楽しみにしています。

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    1. コメントどうもありがとうございます。ロスアンゼルスにヨガ友の先生(女性)がいますが、乳がんをきっかけにヨガを始める方が必ずクラスに一人か二人いるそうです。私のInstagramフレンドのアメリカ人女性も乳癌のリハビリでヨガをやっていて、その経過をレポートしていますが、かなり体調も良くなってきて、表情も明るくなり、ほっとしているところです。
      私も子供の頃、余命宣告された経験があるので、いつも一日一生で生活しています。これからも感じたことを書き続けていきたいと思っています。よろしくお願い致します。

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